映画『パッチギ!』で魅せたあの泥臭く、どこか愛嬌のある若者のように、彼の役者人生の根底には常に泥をすする覚悟があった。大手芸能事務所アミューズを離れ、キャリアのすべてがリセットされた瞬間、彼は逃げるのではなく自らを鍛え直す道を選んだ。
単身ニューヨークへ渡った彼は、言葉の壁や生活環境の違いに直面しながらも、ひたすら演劇の基礎に没頭した。名もなき役者たちと台本を読み合わせ、オフ・ブロードウェイの舞台を目指してオーディションを受け続ける日々。日本での知名度を脱ぎ捨て、表現の原点へと立ち返る孤独な歳月が、彼の表現にかつてない深みと凄みを与えていった。