しかし、なぜ今になって急激に「匂い」が話題に上るようになったのか。その背景には、近年の日暮里再開発プロジェクトによる街の構造の変化が深く関係している。高層マンションや複合ビルの建設が進んだことで、かつては水平方向に吹き抜けていたビル風の通り道が変化し、局所的に匂いが滞留する「ポケット地帯」が発生するようになったのだ。
環境衛生学の観点からも、都市の再開発に伴う風配図(風向風速の頻度)の変化が、局所的なにおい物質の拡散・停滞に影響を与えることが知られている。新しい高層ビルの空調設備や換気排気口の配置も加わり、古くからの下町の香気が思わぬ場所へ集中して運ばれる現象が起きているのである。