この特異な映像体験の中核を担うのが、クリエイティブチームAC部の安達亨と板倉俊介の二人だ。彼らが手掛けるボブネミミッミの質感は、いわゆる商業アニメーションの洗練とは対極に位置する。クレヨンで殴り書きされたようなパースの崩壊、痙攣するように蠢く輪郭線、そして二人が自ら声を当てることで生まれる独特の生々しさ。
安達亨と板倉俊介の企みは、視聴者に「心地よい鑑賞」を許さないことにある。整然とした美しさに慣れきった現代人の眼球へ、粗削りで凶暴なエネルギーを直接流し込む。彼らが吹き込む台詞のたどたどしさと異様な圧力は、デジタルクリーンな世界に生きる私たちに、忘れていた生身のざらつきを突きつけてくる。