昭和50年代、東映株式会社は大きな転換期を迎えていた。それまでの泥臭い抗争劇から、政財界をも巻き込む壮大な社会派ドラマへの脱皮。その起爆剤となったのが、東映京都撮影所で制作された超大作『日本の首領』シリーズである。
京都の撮影所は異様な熱気に包まれていた。本物の迫力と映画的虚構のせめぎ合い。現場のスタッフや俳優陣の緊張感は極限に達していたという。実社会の巨大組織の力学を知り尽くしていたからこそ、生々しいリアリティをフィルムに定着させることができた。虚飾を剥ぎ取った冷徹な権力闘争の描写は、観客の度肝を抜いた。映画館には長蛇の列ができ、日本映画産業の興行記録を次々と塗り替える社会現象となった。