台湾領有権放棄の裏側:サンフランシスコ平和条約が残した外交の闇の要点や背景を専門的かつ分かりやすくまとめました。最新トレンドを一目で把握できます。

終戦後の日本の命運を担った首相の吉田茂。そして米国の特使として対日平和条約を仕切ったジョン・フォスター・ダレス。この二人による緊迫した駆け引きが、歴史の運命を決定づけた。

連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の監視下、日本は占領状態からの脱却と主権回復を急いでいた。しかし、米国は中国大陸を掌握した共産党政権ではなく、台湾へ逃れた中華民国政府との関係維持を日本に強く迫る。イギリスは北京の政権を承認しようとし、米英の意見は真っ向から衝突した。ダレスはイギリスとの破局を避けつつ、共産主義の拡大を防ぐ防波堤を構築しなければならなかった。結果として、主権の帰属を宙に浮かせたまま日華平和条約へと誘導する「吉田書簡」の提出という政治的妥協が成立する。歴史の深淵に刻まれたこの裏取引が、東アジアの地政学に決定的な亀裂を刻んだのだった。