こうしたネット空間の混沌に対抗する動きも出ている。市民やジャーナリストが立ち上げた「札幌ススキノ事件真相究明プロジェクト」などの有志による検証や、独立系メディアが手掛ける調査報道ドキュメンタリーは、扇情主義を排した事実の掘り起こしを試みている。
彼らが着目したのは、政治的な影ではなく、家庭内における特異な親子関係、精神医学的な背景、そして孤立した密室で何が起きていたのかという本質的な問いだ。既存の大手メディアが裁判の速報性に追われる中、腰を据えた報道ジャーナリズムが目指すべきは、安易なイデオロギー闘争への矮小化を拒絶し、歪められた言説のノイズを取り除くことにある。