結論から言えば、気象庁をはじめとする公的機関や気象学の専門家は、「雲の形状によって地震の発生を事前には特定できない」との見解を一貫して示している。空に漂う雲は、地上から上空十数キロメートルまでの対流圏で発生する気象現象だ。一方、地震の巣窟となるプレートの摩擦や断層の破壊は、地下十キロメートルから数百キロメートルという遥か深部で起きている。
つまり、雲と地震では発生する領域の物理的なスケールもメカニズムもまったく異なる。長筋状の「断層雲」や肋骨のような「肋骨雲」、竜巻のように直立する「竜巻雲」として恐れられるものの多くは、実際には上空の強い風や風のシアー、湿度変化によって生まれる巻雲や波状雲、高層雲に過ぎない。気象庁が蓄積した膨大な観測データを見ても、特定の雲が現れた後に有意な確率で大地震が発生したという相関関係は一切確認されていないのが現実だ。