1964年、映画監督の吉田喜重との結婚は、女優としての表現領域を劇的に刷新する転機となった。二人は既成の映画スタジオシステムを飛び出し、独立プロダクション「現代映画社」を設立。既成概念を破壊する前衛的な傑作を次々と世に送り出す。
その頂点に君臨するのが、日本ヌーヴェルヴァーグの記念碑的作品『エロス+虐殺』(1969年)である。大正時代のアナキスト・大杉栄と彼を取り巻く女性たちの愛憎、そして現代の若者たちの生と性が交錯する重層的なドラマで、彼女は伊藤野枝と現代の女性・真美の二役を圧倒的な熱量で演じ切った。監督と女優という関係を超え、互いの魂をぶつけ合いながら創り上げたフィルムは、半世紀以上が経過した現在もなお、観る者に強烈な衝撃と問いを投げかけている。