命の幕引きを選ぶ権利:スイス安楽死の現場と知られざる法的真実を徹底追究! 知っておきたい 情報と解説を凝縮して配信します。

一口に安楽死といっても、世界で採用されている法的枠組みは一様ではない。大きく分けると、医師が直接致死薬を注入する「積極的安楽死」と、医師が処方した薬物を患者本人が自らの手で服用・投与する「医師幇助自死(Assisted Suicide)」の二つが存在する。

オランダやベルギー、カナダ、スペインなどでは積極的安楽死が法制化されている。これらの国々では、耐えがたい身体的・精神的苦痛があり、改善の見込みがない終末期患者に対し、医師がバルビツール酸系などの致死性薬剤を静脈投与する。対してスイス刑法第115条は「利己的な動機がない限り、自殺の幇助は処罰されない」と規定しており、医師が手を下すのではなく、致死薬(主にペントバルビタールナトリウム)を溶かした水溶液を患者自身が飲む、あるいは点滴のバルブを自ら開けるスタイルが徹底されている。

どの法域においても、処置基準は極めて厳格だ。本人の自由意志による反復した要請、治癒不能な病態による激しい苦痛の存在、独立した複数の専門医によるセカンドオピニオン、精神鑑定による判断能力の証明が不可欠となる。単なる高齢や一時的な抑うつ気分による申請は即座に却下される。死に至るプロトコルは、徹底した医療的手続きと法的手続きの積み重ねの上にのみ執行されている。