靴の悪臭は、汗そのものが放っているわけではない。足の裏には1日にコップ1杯分もの汗腺が存在するが、分泌された直後の汗はほぼ無臭だ。問題は、靴という高温多湿の密閉空間で皮膚の常在菌が皮脂や角質を分解するプロセスにある。
ここで生成される代表的な悪臭物質が、脂肪酸の一種であるイソ吉草酸だ。微量でも強烈な納豆のような臭気を放ち、靴のインソールや繊維の奥深くに強固に吸着する。水で丸洗いした程度では完全に脱落せず、湿気を含むたびに再び揮発して周囲を不快にする。さらに、湿度が80%を超える環境は、水虫の原因となる白癬菌などの真菌類にとっても格好の温床となる。悪臭の解決には、乾燥と除菌の両面からアプローチしなければならない。