ネットの匿名掲示板「なんJ」や「5ちゃんねる」において、米津玄師という存在は常に熱い議論のトリガーだ。彼を巡る評価は、単なる「好き・嫌い」の二元論では片付けられない深みを持っている。支持派が称賛するのは、変則的なメロディラインと耳に残る独特のリズム感、そして文学的な歌詞世界である。一方で、否定的あるいは斜に構えた見方をする層からは「どこか陰鬱すぎる」「売れ線に寄りすぎたのではないか」といった声も上がる。
なぜここまで評価が分かれるのか。その裏には、彼が歩んできたキャリアの特異性がある。元々はアングラなサブカルチャーの申し子であった男が、いまや老若男女が口ずさむ超メジャー存在へと上り詰めた。かつての「自分たちだけのカリスマ」が遠くへ行ってしまったような疾走感と寂しさ。そうしたリスナーの複雑な愛憎が、なんJでの「本音評価」として吐き出されているのだ。
また、彼の楽曲が持つ完璧すぎるプロデュース能力も、一部の音楽通から「計算され尽くしていて隙がない」と評される理由の一つだろう。大衆性と芸術性の間で絶妙な綱渡りを続ける姿勢こそが、賛否両論を巻き起こす最大の原動力となっている。