テレビ界での成功にとどまらず、映画の世界でも萩原の才能は凄まじい輝きを放った。山田洋次監督の映画『学校』(1993年)では、夜間中学に通う屈託のない青年を熱演し、第17回日本アカデミー賞で話題賞と優秀助演男優賞を受賞。一躍映画界の寵児となった。
そして彼の演技の深化を世界に示し、狂気的な演技の真骨頂を見せつけたのが、黒沢清監督によるサイコスリラーの金字塔『CURE』(1997年)だ。記憶を失い、他者を催眠状態に陥れて殺人を誘導する謎の男・間宮役。感情を削ぎ落とした静かな語り口と、狂気の淵を漂うような瞳。見る者の精神をじわじわと侵食していく彼の演技は、世界の映画ファンや批評家たちを戦慄させた。静寂の中に潜む絶対的な狂気。この作品によって、彼は単なる若手演技派の域を超え、日本映画史に刻まれる怪優としての地位を確立したのである。