日本国内で急速な拡大を見せるスペシャリティコーヒー産業の波は、錦糸町のロースタリーやカフェにも明らかな質の変化をもたらした。豆の産地や農園のテロワールにこだわり、豆本来の風味を最大限に引き出す浅煎り・中煎りのシングルオリジンを提供する店舗が急増している。
世界レベルの技術と理論が根付く背景には、第15代ワールド・バリスタ・チャンピオンである井崎英典氏をはじめとするトッププロたちの活動が業界全体に与えた影響も大きい。彼の提唱する「ロジカルで高品質なコーヒー体験」は、錦糸町の若手バリスタたちにも深く浸透している。店舗によっては自社で自家焙煎機を導入し、日々徹底した品質管理のもとで生豆の個性を引き出している。こうしたこだわりが飲食業としてのカフェの価値を単なる「休憩場所」から「味覚の目的地」へと押し上げたのだ。