主食のなかでも、なぜパスタだけがこれほど誤解されてきたのか。白米や食パンと同じ「炭水化物」の枠組みで語られることが多いが、その生化学的な挙動は根本から異なる。原料となるデュラム小麦セモリナ粉は粒子が粗く、網目状に絡み合う強固なグルテン構造がデンプンを包み込んでいるため、消化酵素の分解スピードが極めて緩やかだ。
その結果、食後の血糖値上昇度を示すグリセミック・インデックスにおいて、パスタは代表的な低GI食品に分類される。ユネスコ無形文化遺産にも登録された伝統的な地中海食において、パスタを主食としながら肥満率が低く保たれている事実は、この穀物の構造的特性がもたらす恩恵にほかならない。