この地に咲くアジサイが「地蔵菩薩の手に持つ丸い宝珠」に似ていることから植えられ始めたという説は有名だが、歴史の根底にはより深い伝承が存在する。天武天皇の勅願によって創建されたと伝わるこの古刹は、平安時代初期に満米上人によって地蔵菩薩が安座されて以来、日本における地蔵信仰の中心地として栄えてきた。
満米上人が地獄巡りの末に人々の救済を誓ったという伝説は、今なお人々の心に強い印象を残す。高野山真言宗の教えに基づき、生きとし生けるものすべてに慈悲の光を注ぐ尊い存在として地蔵菩薩は祀られ続けている。咲き誇るアジサイを愛でる行為は、まさに仏の慈悲に包まれる体験そのものなのだ。