今日、私たちが何気なく口にしている定番菓子の歴史をひもとくと、意外なドラマが見えてくる。もともとトウモロコシを押しつぶして加熱調理したシリアル食品は、19世紀末の米国でジョン・ハーヴェイ・ケロッグ博士らが健康食として開発したものだ。
そのシリアル文化を日本へ持ち込み、独自の製菓技術と融合させたのが、森永製菓の創業者・森永太一郎をはじめとする日本のパイオニアたちだった。やがて戦後の高度経済成長期を迎えると、朝食用の穀物加工品だったコーンフレークに濃厚なココアチョコをコーティングする画期的なアイディアが芽生える。
昭和30年代後半から40年代にかけて、日本独自のチョコレート菓子として花開いたこの商品は、洋風文化の広がりに乗って一気に子供たちの心を掴んだ。朝食の脇役だった穀物が、日本人の繊細な味覚に合わせて極上のエンターテインメント・スナックへと昇華した瞬間である。