平井堅の圧倒的歌唱力を支えるマイクの秘密とライブ音響の裏側の見逃せないポイントを徹底的にカバーしました。

彼のライブ映像を観た誰もが目を奪われるのが、サビの高音域でマイクを口元から数十センチメートルも素早く遠ざける、あの独特の動作だ。「マイク離し」と呼ばれるこのテクニックは、単なる視覚的ポージングではない。実態は、解像度を維持しながら音圧を物理的にコントロールするための、極めて合理的な音響技術である。

近接効果による低音の不要な増幅を回避し、シャウト気味のハイトーンでもマイクプリのアンプをサチュレーションさせない。距離を離しても声の芯が崩れないのは、驚異的な声量と息のコントロール能力があってこそ。長年の現場経験によって培われたこの肉体的な音圧調整こそが、ミキサー側の過剰なコンプレッサー処理を不要にし、ピュアで伸びやかなサウンドを生み出している。