1960年代に発表された『朝のリレー』。その最大の特徴は、あまりにも平易な言葉で、スケールの大きな宇宙的視線を描き出している点にある。
詩は、時差によって地球上に次々と訪れる「朝」の瞬間を切り取る。カムチャツカ、メキシコ、ニューヨーク、ローマ、そしてブローニュの森。地理的に遠く離れた人々の日常が、一本の目えない糸で結ばれていく。詩の後半で提示される「地球はぐるとまわっている」「いまこの瞬間も ぼくらは朝をバトンタッチしているのだ」という一節は、読者に強烈な肯定感を与える。
難しいレトリックや気取った比喩は一切使われていない。だからこそ、子どもの心にも直感的に届き、大人の記憶に一生残る強度を持っているのだ。