希薄化が進む都市の人間関係において、銭湯は期せずして「ゆるやかな交流の場」としての機能を再発見されている。かつてのように濃密すぎる付き合いではなく、挨拶を交わす程度、あるいは同じ湯船に浸かる時間を共有するという絶妙な距離感だ。
長年この街に暮らす高齢者と、最近引っ越してきたばかりの若い世代が、風呂上がりにロビーで冷たい飲み物を手に談笑する姿。そこには肩書きも年齢も関係ない、裸の付き合いならではの穏やかな空気が流れている。個分化が進む都市において、こうした「誰もが排他的にならずにいられる場所」の価値は高まるばかりだ。