そもそも、なぜ調理家電と最先端通信機器が同じ周波数を奪い合っているのか。時計の針を1945年に巻き戻すと、米国の技術者パーシー・スペンサーの偶然の発見に行き着く。レーダー研究中にポケットの中のチョコバーが溶けたことから、マイクロ波で食品を加熱するアイデアが生まれた。
電子レンジの心臓部であるマグネトロンは、水分子を効率よく振動させるために約2.45GHzのマイクロ波を発生させる。一方で、後発の無線通信規格もまた、免許不要で使える同帯域(ISMバンド)を採用した。出力数百〜千ワットで電波を撒き散らす調理器と、わずか数十ミリワットの微弱な力でデータを運ぶ通信機器。同じ土俵で戦えば、どちらが圧倒されるかは火を見るより明らかである。