漆黒の体に二つの大きな目玉。台所の煤(すす)が固まってできたとされるこの小さな存在は、宮崎駿監督の緻密な世界観を支える極めて重要なエレメントだ。『となりのトトロ』ではサツキとメイが古い家で遭遇する「まっくろくろすけ(ススワタリ)」として描かれ、無害でありながらどこか不可思議な気配を漂わせた。
時を経て2001年、『千と千尋の神隠し』ではボイラー室で石炭を運ぶ労働者として再登場する。金平糖が大好物というユニークな設定が加わり、彼らは単なる屋敷の怪異から、感情豊かなキャラクターへと進化した。名もなき群れでありながら個性が滲み出る演出力こそ、ジブリのアニメーション美学の真骨頂と言える。