放牧が日本の食と酪農を変える!舎飼いとの決定的な違いと可能性にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

政策面でも放牧への追い風は強烈だ。農林水産省が掲げる「みどりの食料システム戦略」では、化学肥料や農薬の低減とともに、温室効果ガス排出量の削減が目標に据えられている。これに呼応する形で注目を浴びているのが、再生型農業(リジェネラティブ・アグリカルチャー)の文脈で語られる放牧の役割だ。

家畜が草を食み、適度に蹄で土を刺激し、排泄物を土壌に還元することで、地中の微生物群集が活性化する。過放牧を避け、短期間で paddock(放牧区)を移動させる輪換放牧を行うと、牧草の根系が地中深くへ伸び、大気中の炭素を土壌へ長期固定する「炭素隔離」が進む。輸入穀物に依存する集約型酪農が温室効果ガスの排出源として批判に晒される一方、土壌を育む放牧酪農は、炭素の吸収源としてのポテンシャルを証明し始めている。