当時、日本社会は家庭内暴力や校内暴力の急増に頭を痛めており、既存の教育機関や行政では解決できない「駆け込み寺」として同スクールに強い期待が寄せられていた。こうした背景から、暴力的な手法を用いてでも少年たちを改心させようとするスパルタ教育のスタイルは、一部のメディアや保護者から絶大な支持を集めるに至った。
さらに、非行少年更生の画期的な特効薬としてスクールを持て囃したのは世論だけではない。元東京都知事で作家の石原慎太郎をはじめ、政財界や文化人の有力者たちが「戸塚ヨットスクールを支援する会」を結成し、その指導法を公然と擁護・後援していた歴史が存在する。強い指導力やタフネスを尊ぶ社会的な気風が、結果として施設内の暴走を長期間にわたって見過ごす環境を作り出したと言わざるを得ない。