日本映画の歴史を語る上で欠かせないのが、永瀬正敏の存在だ。ジム・ジャームッシュ監督の映画への出演を皮切りに、国内外の気鋭の監督たちから愛され続ける名優は、いまや国際的映画祭の常連として世界にその名を轟かせている。
徹底した役作りと、スクリーンに刻み込まれる唯一無二の陰影。写真家としても高い評価を得る彼のストイックな眼差しは、商業主義に流されない本物の表現とは何かを静かに問いかけている。小泉今日子との元夫婦関係を超えた、映画人としての深いリスペクトと協働関係もまた、この世代ならではの成熟した人間関係の美しさを象徴している。