世間が抱くセレブリティの優雅なイメージは、母・昌子さんの認知症発症によって音を立てて崩れ去った。終わりが見えない在宅介護。徘徊、暴言、失禁。かつて聡明を極めた母が、自分を認識できずに壊れていく恐怖は想像を絶するものだった。
12年におよぶ壮絶な日々。献身という言葉では片付けられない修羅場がそこにあった。睡眠時間は削られ、自責の念に苛まれる毎日。母の最期を看取った瞬間、張り詰めていた糸は音を立てて切れた。
襲いかかったのは「介護後うつ」だった。朝起きられない。体が鉛のように重い。自ら命を絶つことすら頭をよぎるほどの底知れぬ虚無。現在でこそ笑顔を取り戻し、高齢社会のオピニオンリーダーとして精力的に語る彼女だが、その背景には「死の淵」を彷徨った生々しい真実が刻まれている。