元乃隅神社の歴史は、神道が持つ数百年、数千年の悠久のスケールから見れば驚くほど新しい。発端は1955(昭和30)年、地元の網元であった岡村斉(おかむらひとし)の夢枕に立った一匹の白狐にある。「これまで漁を続けてこられたのは誰のおかげか。吾を祀れ」という神託を受け、島根県津和野町の太皷谷稲成神社から分霊を勧請して創建された。
断崖から高台へ向かって龍のようにうねる123基の鳥居は、1987年から10年もの歳月をかけて奉納・整備されたものだ。総延長にして約100メートル。なぜ123という数なのか。社では「ひふみ(一二三)」の吉祥数に由来すると伝えられている。荒れ狂う日本海に向かって朱色の柱が規則正しく並ぶ姿は、自然の猛威に対する人間の祈りの防波堤のようでもある。