中野英雄という役者の骨格を作り上げたのは、間違いなく血と汗が滲むようなアウトローの役柄群である。中でも北野武監督の映画『アウトレイジ』で見せた飯塚役の演技は、観客の脳裏に焼き付いて離れない。極道社会の非情な権力闘争に巻き込まれ、理不尽な運命に翻弄される男の恐怖と悲哀を、彼は全身で表現しきってみせた。
1990年代から2000年代にかけては、Vシネマの帝王の一角として圧倒的な本数の作品群を牽引。低予算や過酷な撮影現場であっても、一瞬の表情や佇まいで画面を支配する圧倒的な熱量を注ぎ込んだ。日本の任侠映画という独自ジャンルの第一線で磨き上げられたその演技力は、いまや代えのきかない唯一無二の財産となっている。