教科書が絶賛した美徳の嘘?江戸しぐさの真相と偽史が広まった理由に関する疑問や疑問点を徹底的にまとめました。詳細を読もうことができます。

この急速な神話化に待ったをかけたのが、偽史研究の第一人者である歴史研究者の原田実だった。原田は著書や論文を通じて、江戸しぐさの主張に含まれる歴史的矛盾をひとつひとつ緻密に解体していった。

日本近世史の専門家たちも原田の告発に呼応した。そもそも江戸時代の町並みや傘の構造を考察すれば、蛇の目傘を傾けてすれ違うこと自体が物理的に不自然である点や、厳格な階級社会だった江戸において全商人が共有する秘密結社的ネットワークなど存在し得ないことが論証された。文書記録を重んじた江戸社会において、何百年も口伝のみで維持された大規模な倫理体系が存在したという主張は、学術的には完全に破綻していたのである。