2013年夏、美容界を揺るがせたカネボウ美白化粧品白斑事件は、国内外で2万人を超える被害者を出す未曾有の事態へと発展した。事故の引き金となったのは、メラニン生成を抑える有効成分の安全性検証不足である。皮膚科医からの異変の指摘がありながらも、企業側の事実確認と決断は後手に回り、被害が拡大。さらに事態を重く見た厚生労働省による手厳しい行政指導へと至った。
事件の発覚後、補償問題は長年の懸案となった。被害を受けた顧客に対し、治療費の全額負担や精神的苦痛に対する慰謝料の支払いが進められたものの、一度脱色した皮膚が元に戻らない症例も多く、賠償・補償問題は極めて長期化。単なる金の支払いでは解決できない「人生の毀損」に対する補償のあり方が、厳しく問われることとなった。