視覚効果(VFX)全盛の時代にあって、あえて口元の造形に「リアルな物理素材」を導入する映画撮影現場が増加している。日本の邦画界を牽引する東宝株式会社が手がける大型特撮映画や、グローバル展開するNetflixのオリジナルダークファンタジー作品でも、キャストの口元にフルカスタムの義歯を装着させるアプローチが評価を高めているのだ。ポストプロダクションでの3DCG処理に比べ、役者が実際に言葉を発した際の唇の動きや唾液の光沢感、光の反射が極めて自然に映るためである。
特に近年再評価が進むクローズアップ多用のホラー映画においては、画面越しにも伝わる生々しい質感と恐怖感が観客の没入感を決定づける。現場の監督たちからは「CGでは再現しきれない肉体的な質感が、演者のパフォーマンスをも引き出す」と絶賛の声が上がっており、実写映像作品における特殊歯飾りの需要は右肩上がりの一途をたどっている。