彼のボーカリストとしての特異性が決定的に証明されたのは、山下敦弘監督による映画『味園ユニバース』だった。記憶を失った歌うたい・ポチ男役で見せた圧倒的な存在感とスクリームは、俳優の域を超えて一人のブルースマンの誕生を告げていた。
その剥き出しの表現欲求が結実したのが、ソロデビューアルバム『二歳』だ。全曲の作詞・作曲・編曲を自ら手がけ、アコースティックギターとブルースハープをかき鳴らす姿は、まさに産声を上げたばかりの赤子のような初期衝動に満ちていた。
その後も歩みを止めることなく、自身のルーツであるガレージロックやパンク、ブルースを貪欲に吸収。吐き捨てるようなシャウトから叙情的なバラードまで、レンジを広げた歌唱力は日本の音楽界でも唯一無二のポジションを確立している。