吉岡里帆が『カルテット』で見せた怪演と「人生ちょろい」の深層の詳細解説をご紹介します。専門的な知識がチェックできます。

本作は、単一のジャンルに押し込めることができない。ほろ苦い人間ドラマであり、上質なラブサスペンスであり、切れ味の鋭いブラックコメディでもある。そのジャンルの境界線を自在に飛び越えるトリックスターこそが来杉有朱だった。

彼女の行動は時にサスペンスの引き金となり、次の瞬間には痛烈なコメディへと昇華される。吉岡里帆の緩急自在なパフォーマンスが、作品全体のトーンを重層的なものへと押し上げた功績は計り知れない。カルテットが今なおカルト的な人気を誇る理由の一端は、間違いなくこの不協和音の美しさにある。