日本人のバレンタイン観とスイーツの結びつきは、サブカルチャーやメディアを通じても深く形成されてきた。かつて話題を呼んだ大ヒット作品『失恋ショコラティエ』では、辻口博啓氏ら一流ショコラティエが監修するような繊細で甘美なチョコレートの世界が、ロマンティックかつ複雑な恋愛感情の象徴として描かれた。
対照的なのが、大槻ケンヂ原作の青春小説・映画『グミ・チョコレート・パイン』だ。甘くてほろ苦い青春の泥臭さ、モラトリアムの象徴として描かれたグミやパインは、完璧で敷居の高いチョコレートに対する、等身大の感情のメタファーでもあった。
チョコレートが「特別な感情の儀式」なら、グミは「嘘のない日常の熱量」。カルチャーの文脈から見ても、グミは決して冷淡な拒絶ではなく、むしろ親密なリアリティを宿したアイコンなのだ。