伝統の変容は、歴史ある霊場にも波及している。四国霊場八十八ヶ所巡礼、通称「お遍路」。1200年以上の歴史を誇るこの巡礼路がいま、かつてないほど若返り、国際化している。
2026年、歩き遍路の道中で目につくのは、スマホのAR(拡張現実)アプリを手に札所を巡るヨーロッパからの観光客や、日本のZ世代の姿だ。位置情報と連携した「デジタル朱印帳」や、AIが体調や天候に合わせて最適な歩行ペースや宿坊を提案するナビゲーションシステムが普及したことで、心理的・物理的なハードルが大幅に下がった。
「自分を見つめ直したい」「デジタルデトックスをしながらマインドフルネスを得たい」という現代的な欲求が、四国の豊かな自然と伝統にマッチした。88の札所を一つひとつ巡るプロセスは、ゲームのクエストをクリアするような感覚と、深い精神的充足感を同時に与えてくれる。巡礼者の平均年齢はここ5年で一気に15歳以上若返ったというデータもある。