丼のアイデンティティを左右する「タレ」をめぐる論争も白熱している。現在、業界を二分しているのが、揚げる直前に下味を揉み込み仕上げに極上甘辛ダレを回しかける「後がけ派」と、揚げる前後で異なるブレンドのタレに潜らせる「二重浸し派」だ。
後がけ派が衣の限界ギリギリのサクサク感を主張する一方で、二重浸し派は米との圧倒的な一体感を誇る。ある渋谷の名店店主はこう語る。「サクサク感だけなら唐揚げ単体でいい。丼にする以上、タレが染みた米と肉の一体感こそが命だ」。丼という小さな小宇宙の中で、食感と味の濃度の最適解を探る戦いが日々繰り広げられている。