日本におけるホラー表現は、時代とともにメディアの形を変えて進化してきた。昭和から平成にかけて、怪談界の巨匠・稲川淳二氏が確立した語り口は、情景描写と独特の間によって聴き手の脳内に「見えない恐怖」を直接描き出す手法だった。
やがてテレビメディアがそのバトンを受け取る。フジテレビの長寿番組『世にも奇妙な物語』に代表される映像作品では、画面の隅に映る不自然な張り紙の文字や、作中の登場人物が書いた日記の縦読みなど、視覚的なギミックを使った演出が頻繁に盛り込まれてきた。視聴者に「画面を止めないと気づかない恐怖」を与える手法だ。
音声によるストーリーテリングから、映像や文字のギミックへ。表現形態は変わっても、人々の探求心を刺激して恐怖を芽生えさせる演出の本質は、稲川怪談の時代から一貫して受け継がれている。