「1台のスーツケースを丸ごとこのパフで埋め尽くして帰るお客様も珍しくありません」
銀座の中央通りに面した大型ドラッグストアの免税レジ前。店長は大量のマルチファンデパフやダイヤ型スポンジの箱を抱えた外国人旅行者を指差しながら語る。かつて日本のドラッグストアでインバウンド需要を牽引したのは、高価格帯のスキンケアや有名メーカーの医薬品だった。しかし今、旅行者のSNSコミュニティで「日本で絶対に買うべき隠れた名品」として拡散されているのは、この数百円のスポンジだ。
中国や韓国、東南アジアのコスメフリークたちの間では、日本の金型技術やウレタン加工の精密さが生む「唯一無二の密着感」が高く評価されている。自国のECサイトで高値転売されるケースも相次いでおり、店舗側は個数制限の貼り紙を掲示せざるを得ない状況が続く。