長らく野放しにされてきた命名の無法地帯に、ついに国家のメスが入った。契機となったのが戸籍法改正だ。これまで戸籍には漢字のみが記載され、読み仮名は記載されていなかったが、行政のデジタル化推進に伴い、氏名の「フリガナ」が公的に義務付けられた。
これを受け、法務省は「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という明確な基準を通達した。社会通念上、著しく逸脱した読み方は受理されない仕組みが整ったのだ。
法務省が示す不受理基準の要点は以下の通りだ。
1. 反社会的な意味や差別的なニュアンスを含むもの(例:「悪魔」など)
2. 漢字の意味とは正反対の読み方を当てるもの(例:「高」と書いて「ひくい」)
3. 著しく誤読を招く、あるいは連想が困難なこじつけ(例:「太郎」と書いて「マイケル」)
4. 人名として品位を欠き、他者を侮蔑・混乱させる表記
かつてのように「親が好き勝手に読ませる」時代は終わりを告げた。受理するかどうかの判断は市区町村の窓口に委ねられ、疑義がある場合は法務局と連携して審査される。行政による明確なスクリーニングが機能し始めている。