彼が日本の小売業に植え付けた最大の遺産が、「単品管理イノベーション」の思想である。店頭に並ぶ商品一つひとつに対し、「なぜ売れたのか」「なぜ売れ残ったのか」をバイトスタッフレベルで徹底追求させた。これにより、従来のメーカー・卸主導の流通構造は、完全に消費者主導のモデルへと転換を余儀なくされた。
仮説を立て、発注し、結果を検証する。天候や地域行事、気温の変化までも織り込んだ高精度な発注手法は、在庫の無駄を徹底的に排除した。単品管理は単なる在庫圧縮のテクニックではなく、働く人間の思考力を鍛え上げる高度な組織改革ツールであった。