今注目を集めている 昭和史に刻まれた公認売春街の真実!赤線と青線を分けた境界線について、多角的な視点を分かりやすく掲載しています。

この歪んだ空間で生きた女性たちの生々しい葛藤を、冷徹なリアリズムで捉えた傑作がある。大映が1956年に製作した映画『赤線地帯』だ。世界的巨匠・溝口健二監督の遺作となったこの作品は、それまでの映画が描いてきた「哀愁漂う遊女」という感傷的なステレオタイプを真っ向から打ち破った。

名優・京マチ子が演じたミッキーは、戦後のアメリカ文化に染まり、父親を激しく軽蔑しながら金を冷徹に稼ぎまくる強烈なキャラクターとして描かれた。病気の夫を養うために働く女、子どもの学費を稼ぐために蔑視に耐えるシングルマザー。彼女たちは決して犠牲者としてうなだれていたわけではない。理不尽な貧困社会を生き延びるため、自らの身体を武器に貪欲に戦っていた。

娯楽映画の枠を超えた鋭利な社会派ドラマとして世に放たれた本作は、国会における立法論議を強力に後押しし、世論を大きく動かす決定打となった。