「たかが下ごしらえ」と侮るなかれ。プロの料理人が実践する技を取り入れるだけで、肉の旨味と食感は文字通り劇的な進化を遂げる。パリの三つ星レストランを目指すシェフの熱き戦いを描いた大ヒットドラマ『グランメゾン東京』でも描かれたように、フレンチや和食の世界では肉への保水と不要な臭みの遮断が美味しさの命運を握っているのだ。
家庭でまず試したいのが、酒や塩を用いた臭み抜きと繊維の断ち切りだ。鶏肉表面に潜む余分な水分や血合いは、キッチンペーパーで入念に拭き取る。これだけで独特の生臭さは一瞬で消え去る。さらに、肉の繊維方向を見極めて包丁を入れることで、加熱時の肉汁の流出を防ぎ、極限までジューシーさを引き出すことが可能になる。