兄・森稔が率いた森ビルは、日本の都市開発の概念を根底から覆した。その象徴が2003年に開業した六本木ヒルズであり、それに続く虎ノ門ヒルズの連続的な拡張である。建物を超高層化して足元に広大な緑地を生み出す「立体緑園都市(ヴァーティカル・ガーデンシティ)」という構想は、森稔が生涯をかけて追い求めた執念の結晶だった。
その究極の到達点として誕生したのが麻布台ヒルズだ。30年以上の歳月をかけて約300人の地権者と対話を重ね、広大な谷状の地形を最先端の複合都市へと再生させた。森稔自身は2012年に惜しまれつつ世を去ったが、彼が描いた都市のマスタープランは、都市再開発・総合デベロッパーとしての森ビルの遺伝子として脈々と受け継がれている。