桐生一馬の義兄弟であり最大のライバルとなった錦山彰の背中に刻まれていたのは、「錦鯉」であった。中国の故事「登龍門」が示すように、鯉は険しい滝を登りきって龍へと昇華する。背中に応龍を背負う桐生という圧倒的な存在を追いかけ、苦悩しもがいた錦山の野心と葛藤が、鮮やかな赤い鯉のモチーフに切なく投影されている。
また、「関西の龍」こと郷田龍司の背中を彩る「黄龍」も強烈な印象を残す。「龍は一頭でいい」という信念のもと桐生と対峙した郷田の絶対的なプライドが、雄々しい龍の図案に現れていた。さらに、冴島大河の「笹に虎」、堂島大吾の「不動明王」など、それぞれのキャラクターが背負うモチーフは彼らの性格や作中での宿命と緻密に連動しており、背中を紐解くこと自体が作品の物語を深く読み解く鍵となっている。