イカ釣りにおいて、竿頭と他の釣り人との差を分ける最大の要素が「棚取り」の精度だ。喜平治丸の船長から発せられる「底から5メートル上まで探って」「140メートルから120メートルまで上から落とし込んで」といった探見丸や魚探画像に基づくアナウンスには、極めて緻密な根拠がある。
指示棚へ仕掛けを到達させた後、ただ待つだけではイカは抱きつかない。重要なのは、1メートル刻みでシャクリを入れ、数秒間のピタッと止めるステイを作ることだ。ヤリイカは止めた瞬間にノリが集中し、スルメイカは落ちてくるヅノに対して激しくアタックしてくる。ヒットした後は一定の速度で電動リールを巻き上げ、身切れを防ぐテンションを維持することが多点掛けを成功させる鉄則だ。