春の選抜高等学校野球大会において、広陵は幾度も紫紺の大旗を掲げてきた。しかし、夏の全国高等学校野球選手権大会の頂点には、あと一歩のところで手が届いていない。準優勝の悔し涙を呑んだ記憶は、歴代の指導者と選手たちの心に深く刻み込まれている。
春と夏ではグラウンドを取り巻く気温も、プレッシャーの質も異なる。真夏の炎天下で集中力を維持し、相手の執念を凌駕するためのメンタルトレーニングが重ねられている。ミスが出た直後の切り替えや、劣勢時のベンチワークに至るまでシミュレーションに抜かりはない。
選手たちが見つめる先にあるのは、ただ一つ。広島県勢としても久しく遠ざかっている深紅の大旗を学校へ持ち帰ることだ。先輩たちの無念を背負い、彼らは一球一打に全神経を注ぎ込んでいる。