劇中で描かれた哲平(木村拓哉)と理子(松たか子)の関係は、近すぎて素直になれない現代的な男女の距離感そのものだった。髪を切るシーンやガラスのリンゴといった象徴的な小道具が印象を残す中、大滝の歌詞は二人の揺れ動く心理状態を見事なまでにすくい取っている。
「髪をほどいた」「今夜君は僕のもの」といったフレーズは、一見するとクラシカルでロマンチックな歌謡曲の趣を宿している。しかし、その裏には大滝特有のダブル・ミーニングやオールド・ポップスへのオマージュが緻密に張り巡らされている。切なさと温もりが同居するメロディラインは、ドラマのクライマックスで絶妙なタイミングで流れることにより、視聴者の感情を極限まで揺さぶったのだった。