日本漫画史における金字塔の技名は、実は極めて日常的なリビングルームの会話から産声を上げた。連載初期、必殺技のネーミングに頭を抱えていた鳥山明氏。カメを背負った老武術家が放つ技として、「かめ……何とか波」という響きを模索していたという。
そこで助け舟を出したのが、鳥山氏の妻であり元漫画家のみかみなち氏だった。「ハワイのカメハメハ大王はどう?」――この軽妙な一言に鳥山氏が膝を打った。「くだらなくて、すごくいい」。語感のキャッチーさと、ハワイの偉大な王の名を冠するギャップ。重苦しい必殺技が主流だった当時の少年漫画界に、軽やかで破壊的な革命が起きた瞬間だった。