黒木警視役の丹波哲郎抜きに、この作品の重厚さは語れない。前身番組である『キイハンター』をはじめとする一連のアクションシリーズで絶大な支持を集めていた丹波は、本作においてチームを束ねる冷徹かつ温情を秘めた司令塔として君臨した。パイプをくゆらせ、デスクから鋭い眼光を放つその立ち姿だけで、画面全体の空気が張り詰めた。
現場における丹波の豪快な逸話は数知れない。台本を現場に持ち込まず、卓越した直感と天性のカリスマ性でセリフを自らの血肉に変えていったスタイルは有名だ。しかし、それは決して放蕩ではなく、共演者やスタッフの緊張感を極限まで高めるための計算されたプロフェッショナリズムでもあった。彼が放つ圧倒的なオーラが、警察組織の冷徹なリアリズムを体現していた。