『海猿』の権利関係を理解する上で避けて通れないのが、「原案」と「漫画(作画・著者)」のクレジット問題だ。本作は小森陽一氏が原案・取材を担当し、それを基に佐藤秀峰氏がストーリーを再構築し、キャラクターに命を吹き込んで漫画として連載化された。
日本の漫画業界において、原案者と漫画家の役割分担は珍しくない。しかし、メディア露出や映画化の場面において、この両者の権利範囲や発言権が曖昧に扱われることが少なくなかった。世間一般が「原作者」という言葉を大雑把に使用するあまり、取材原案を提供した立場と、実際の漫画を描き上げた著作者の双方の立場が混同され、ネット上の混乱に拍車をかけた側面がある。
佐藤氏は自身が『海猿』の主要な著作権者であることを主張し続けており、法的な観点からも漫画の著作者権は同氏に帰属する。原案者の貢献を尊重しつつも、作画およびストーリー展開を担った著作者としての正当な主張が、誤解によって曲解されて伝わってしまったのが歴史的背景だ。