映像作品だけでなく、舞台という生の空間でも彼女は爪痕を残してきた。名作舞台『私に会いに来て』への出演は、演技の深みを一気に増すきっかけとなった。連続殺人事件を巡る重厚なサスペンス・ヒューマンドラマであり、緊迫した空間で生の感情をぶつけ合う過酷な舞台演劇。観客の視線が集中する板の上で、彼女は役に完全に身を委ね、圧倒的な感情の発露を見せた。
「舞台の上では、一切の誤魔化しが効かない。あの恐怖と快感が、女優としての真のスタートラインだった」と本人は振り返る。一瞬の呼吸、声のトーン、目線の動き一つで観客の心理を揺さぶる技術は、この舞台体験によって研ぎ澄まされた。サスペンスから重厚な人間ドラマまで、観る者の心に深い爪痕を残す芝居の原点は、劇場の熱気の中にあったのだ。